2019年7月
瓦葺き屋根は植物屋根(檜皮葺き・茅葺き・藁葺き・柿葺き等)に比べて、飛び火等の着火率が低いので、瓦葺き屋根の防火(延焼防止用・消火用)放水は、少量又は無くても良いのではないかという考え方があります。
確かに屋根の不燃化の代表的な建材である瓦は、文化財で使用される場合は1100℃以上で焼成されることからも、着火率も格段に小さいと感じられます。
では実際にはどうなのか。現実に発生した飛び火による大火から考察してみましょう。
大火の一例として、2016年12月22日(木)に発生した新潟県糸魚川市の大規模火災(焼損棟数147棟)の建物被害調査報告書(※1)によりますと、火災発見から風速10m/s前後、最大瞬間風速20m/s前後の強風がほぼ鎮圧までの間吹き続き、その強風、火災旋風によって飛び火が約300m離れた家屋にまで及び、消防の総合力が分散・小力化され大規模火災となったと検証されています。
また、焼損家屋は瓦屋根でしたが、多くは昭和初期仕様の瓦屋根で、瓦のねじれや寸法の不揃い等があり、重ね部に生じた隙間から強風によって運ばれた飛び火が侵入し、短時間のうちに屋内延焼に至らしめたとのことです。
これまでの火災分析データから、出火は湿度に、大火は強風に関係が深く、出火の危険度は高温乾燥時が最も高く、延焼拡大の危険度は風力4以上(風速約5.5m/s以上、※2)から急激に増してきます。
火災が発生しますと、火事場では燃焼による上昇熱気流と上空からの冷たい下降気流とで対流が生じ、その大気の流動によって強風・旋風・突風を発生させ、周辺が風力2~3程度であっても、火災現場では風力6~8 (風速10~20m/s)くらいの旋風となり、吹き荒れることとなります。
その旋風が、火の勢いと共に火の粉を高所へ舞い上がらせ遠方まで運ぶことによって、飛び火延焼を引き起こします。
文化財建造物の瓦屋根が、一般家屋の瓦より精巧に造られていたとしても、長い年月の経過によるズレや隙間の発生は避けられず、また文化財であるが故に安易に修理等による現場変更もできないこと、また瓦屋根はその構造上、新旧を問わず、上方からの飛び火は防げても、旋風等による斜め下方からの飛び火には防御に弱い一面があります。
よって、結論としましては、
<参考>
※1、国土技術政策総合研究所NO.980・建築研究所資料NO.184
※2、気象庁風力階級表(ビューフォート風力階級表)
2019年6月
文化庁の報道発表資料をこちらからご覧いただけます
2016年7月
最近、大リーグではEV(EXIT VELOCITY)‐打返された瞬間のボールの速さ‐が注目されています。
例えば、レギュラー選手の例では、マーリンズのスタントン選手の44.2m/s、
ドジャースのペダーソン選手の42.5m/s、レンジャーズのモアランド選手の42.3m/s、また、速いEVとして
ブルージェイズのドナルドソン選手の53.9m/s、エンゼルスのトラウト選手の49.8m/sなどがデータとして残されています。
このEVを日本に当てはめて、ホームランバッターで比較してみますと、ホームランボールのEVは
また、ホームランバッターではないですが、イチロー選手の平均EVは36.7m/sです。
ところで、放水銃からの放水流で、最も遠くまでの射程が得られる初速度は約42.5m/sです。
異種なのに、意外と近似値で不思議ですね。
2016年6月
水が消火に使用される利点は
放水銃や消火栓の凍結対策としては、
しかしながら、保温材の使用にも有効期限があり、ヒーター等の使用では劣化や電気代がかかるという問題があり、水抜きも強制となると人為的な操作が必要で、忘れる場合も生じます。自動水抜き法も永久保障というものではありません。
特に自動首振放水銃は直接操作しにくい場所に設置することが多い為、寒冷地や一時的に氷点下になる地域では凍結対策は必須です。
現在、自動首振放水銃はシリンダー式とインパクト式が使用されており、特に多用されているシリンダー式は強制的に排水操作しないと水抜きができません。
この様に、凍結対策は、まだ未解決のテーマとなっています。
≪ミニ・ニュース≫
この度、多くのご要望に応えるべく 不凍(Non-Freezing)型の放水銃NF型を今秋発売します。
2015年6月
放水銃の放水は仰角何度の時に最大射程(到達距離)となるでしょうか。
物体を投げた場合の軌跡「放物線」では仰角45°で投げた時が最大到達距離となることは習知されておりますが、では、野球のホームランボールは仰角45°で打上げられているのでしょうか。
また、同様に放水銃からの放水も仰角45°での放水の時が最大射程(到達距離)となるのでしょうか。
角度θで投げた場合の水平方向到達距離
x = v2g・sin2θ 故にθ = 45°の時 sin2θ = 1で最大となる。
では、実際にはどうでしょうか。
・ホームランボールの場合、打ち上げ仰角(平均)は、王選手で30°、松井選手で35°、バレンティン選手で31°です。
・放水銃からの放水では、水平方向の最大射程は仰角32°、垂直方向の最大射程は仰角75°となります。
では、どちらも何故45°ではないのでしょうか。
また、ボールという単一固体と放水流という連続流体 という違いがあるのに、この近似値は何故でしょうか。
2015年1月
「文化財愛護シンボルマーク」は、文化財愛護運動を全国的に展開するため、公募により、昭和41年5月に定められたものです。
このシンボルマークは、ひろげた両方の手のひらのパターンによって日本建築の重要な要素である斗栱(組み物)のイメージを表し、これを3つ重ねることにより、文化財という民族の遺産を、過去・現在・未来にわたり永遠に伝承していくという愛護精神を象徴したものです。
(文化庁)